思考の種

覚書として

「3人の大工」の話に隠された真の教訓

「3人の大工」の話に隠された真の教訓

あるところに、3人の新人の大工がいました。 その大工はそれぞれレンガを積んでいます。

そこにある人が訪ねてきて、各人に同じことを聞いて回りました。 「今、あなたは何をしているんですか?」

1人目の大工は答えました。 「見れば分かるでしょ?ずっと壁を作っているんですよ。単調な作業だけど、仕事をしなきゃ家族を養えない。邪魔しないでくれ!」

2人目の大工は答えました。 「俺は学校を作ってるんだ。大工の腕を磨いて立派な棟梁になるんだ!」

3人の大工は答えました。 「俺はここに子供たちの夢を作っているんです。子供たちの大きな夢が集まる学校を作っているんですよ!」

3人の大工の意識

1人目の大工

ジョブの価値観。 報酬のために働いている。

2人目の大工

キャリアの価値観。 出世のために働いている。

3人目の大工

コーリンの価値観。 崇高な目的のために働いている。

以上は仕事の価値観を考えさせる有名な話である。 この話をすると、聞き手は「自分は3人目の大工のようになろう!」といった反応を見せることがほとんどである。

確かにコーリンの価値観で働いている者は幸せである。 しかし、この話の教訓はそれだけなのであろうか?

少し3人の大工の背景を想像してみよう。

価値観の違いはいつ生じた?

3人はそれぞれ何にフォーカスしたかで違いが生じたのは間違いない。 では、そのフォーカスに至ったのは各々の資質だったのであろうか?少し高度を上げて見てみよう。

彼らは何を聞いたのか?

1人目の大工は棟梁から 「お前の仕事はここからここまでを今週中に仕上げることだ。今回は大口の仕事だ。無事終わったらボーナスが出るから家族と美味い飯でも食いに行ってこい!」 と言われていたのかもしれない。

2人目の大工は現場で社長が棟梁に 「今回の大口の仕事が上手くいけば、会社も大きくなるから、新たに棟梁が必要になるな。」 と話しているのをたまたま聞いたのかもしれない。

3人目の大工は学校の創設者が建築会社社長に 「ここに学校を建てるのが長年の夢でした。今までこの地域の子供たちは教育を受ける機会がなく、将来に夢も持てないでいました。ここに学校ができれば子供たちの未来も大きく変わるんです!よろしくお願いします!」 と念願が叶った事を涙ながらに話しているのをたまたま聞いたのかもしれない。

さて、3人の違いは資質だったのであろうか?

彼らが得た情報が異なれば無意識に違う価値観を持ち得たのではないか?

つまり、ここで得られた新たな教訓は、3人目の大工になることを目指すのではなく、3人目の大工をつくりだせる影響者であれということだ。

自分の会社ではどうであろう?

上司から部下への励ましの例としては…

  • このプロジェクトが成功すればボーナスが出るぞ!

  • このプロジェクトが終われば長期休暇がとれるぞ!

  • 残業が多くなってしまっているが、残業代はしっかり出るからな!

  • ここでの踏ん張りが君の成長になるんだ!

  • ここで将来のために管理職としての考え方を身につけるんだ!

…など。それぞれがどの大工を育てることになるかは一目瞭然であろう。

では、3人目の大工を育てるためには何を言えばよいか?

その答えは自身がコーリンの価値観で仕事をしているのであれば明白であろう。