思考の種

覚書として

高山病こうざんびょう〔内科〕

高山病
こうざんびょう
〔内科〕
 
原因/症状/検査・診断
 
 健康な人が標高2500m以上の高地に急速に到達したときに、体が急激な環境の変化についていけずに起こる症候群です。低酸素がその主な原因となります。急性、亜急性、慢性高山病に分けられますが、通常、高山病といえば、急性の高山病をいいます。高山への登山者がかかるのが大部分ですが、近年、外国の高地への旅行者にもみられます。
 急性高山病は安静と適切な治療によって、ほとんどの人が軽快し治ります。まれに重症となり肺水腫(高地肺水腫)や脳浮腫(高地脳浮腫)などを併発して死に至ることもあります。亜急性高山病は急性の症状が数週間続き、低地へ戻れば治ります。慢性高山病は、もともと高地に住んでいるにもかかわらず高地環境に順応できなくて起こる病気です。
 症状は、急性高山病では、高地到着後6~12時間後に発症します。頭痛を伴って、吐き気・嘔吐、だるさや睡眠障害、めまい・ふらつきなどの症状が現われます。低地へ移動したり、高地環境に順応すれば数日中に治ります。高地肺水腫や高地脳浮腫は、標高2500m以上の高地に到達後1~3日して発症します。両者は合併して起こることが多く、高地肺水腫では上記の症状に加え、咳、痰、息切れが目立ち、呼吸困難を起こします。高地脳浮腫ではふらつき、幻覚・傾眠などの意識障害が現われます。このような症状が現れたら速やかに低地移送することが重要です。また、夜間には症状が増悪しますので注意が必要です。
 検査は登山中ならば近くの診療所で血液中の酸素濃度をはかります。その他、胸部X線、脳のCT、眼底などを検査して診断します。
 治療の基本は安静、酸素吸入です。薬物療法を行ったり、症状改善のための携帯型高圧チェンバーも効果的です。ほとんどの人はこれらの処置により症状が軽減します。
 
生活上の注意点
 
 高山病は標高2500メートル以上の高地で起こり、標高が高ければ高いほど、そこまでの到達時間が短ければ短いほど起こりやすくなります。また、以前に高山病にかかった人は発症しやすくなるので、標高2500メートル以下のところで宿泊するようにしましょう。高地へ登山する場合は、時間をかけて身体を高地に慣らすようにゆっくりとしたペースで登ります。海外旅行で飛行機で高地へ行く場合は、到着後一両日は激しい運動はせずに安静にしています。また、高地へ行く前からの体調を整えることも重要です。
 急性高山病の予防薬としては、アセタゾラミドやデキサメタゾンの服用も効果があります。