人生において最も大切なものは時間である。
人生において最も大切なものは時間である。
多くの大人が「時間は大切だ」と言う。
しかし、本当にその価値を理解している人は多くない。
すべての人にとって有限であり、何をするにしても必ず支払わなければならないのが時間である。
言い換えるなら、時間はあらゆるものに交換可能な『人生の通貨』である。
『人生の通貨』の使い方は人によって様々だ。
ある人は、労働という形で『人生の通貨』を『物流の通貨(お金)』と交換し、生活の糧を得る。
ある人は、『人生の通貨』を『安易な娯楽』と交換し、自己嫌悪感を得る。
ある人は、家族と共に過ごすことで『人生の通貨』を『経験の共有』と交換し、愛を得る。
『人生の通貨』を何と交換しようと、それ自体に善悪はない。
あるのは結果だけである。
私たちは生まれてから今に至るまで毎秒全ての時間を何かに使ってきた。
その結果が今だ。
既に使ってしまった時間は取り戻せないが、これから使う時間は選ぶことができる。
さて、今日の残された時間を何に使おうか?
毎日、時計が深夜零時を回ると、86,400秒が自動的にあなたの人生体験に加わる。
それはあなたのいちばん価値ある財産だ。
そのうちでどれだけの時間、感動を味わえるだろう?
どれだけの時間、一生忘れない経験ができるだろう?
時間の使い方を決めるのは、あなた自身だ。
人生の1秒1秒は使って楽しむためにある。
1日の間に活用しなかった時間は、二度と返ってこない。7(セブン) 1週間のうち何日を特別な日にできるだろうより
常に好奇心をもって、変化し続ける。
常に好奇心をもって、変化し続ける。
生きていく上で変化は必要なのか?
私たちはどれだけ年を重ねていたとしても常に変化が必要である。
何故なら万物は常に変化している。
しかも、その変化の方向は退化ではなく進化だ。
周りの環境が進化していく中で、自身が変化しないということは相対的な退化を意味する。
進化するということは、変化するということ。
そして進化するためには、変化を許容する心が必要だ。
しかし、人は太古からの生存本能により、「今いる場所は安全、変化は危険」とプログラミングされている。
そのため、脳は変化を察知すると本人に不快感を感じさせ以前の状態に戻そうとする。
この「以前の状態に戻そうとする内部システム」はとても強力で意思の力で抗うのは難しい。
これが新しい習慣が身につかない原因だ。
しかし、裏を返せばこのシステムを味方につければ意識の力を使うことなく習慣を維持できるということも言える。
習慣を自在にコントロールできるようになると、人生のコントロールができるようになる。
変化の話に戻ろう。
望む変化があり、先述の「脳の変化を嫌うシステム」に対抗しようという時には、意思の力で脳を服従させるのではなく、イメージの力で脳を味方につけるのだ。
脳の判断基準は単純だ。
「快」か「不快」かで判断する。
特に「不快」に対しての拒絶は強い。
変化のために「〜しなければ」「〜してはいけない」と思った途端に脳は全力で変化を妨害してくる。
このようなときには変化のために犠牲になるものを意識するのではなく、変化の結果として得られるものをイメージすることにフォーカスするとよい。
イメージを描くときには変化の結果として得られるものを五感で感じられるレベルまで具現化することが大切である。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のそれぞれが何を感じるかを鮮明にイメージし、そのイメージを繰り返し思い描くことで、あたかも実際に経験したことかのように脳内に焼き付ける。
これができるようになると望む変化を起こすことが容易になる。
自分で決めたことを実行できないのは、意志が弱くて誘惑に負けてしまうからではない。
君が、自分の願望をきちんと育てていないからだ。
もし君が、心から望む一つの願望を大きく育てれば、他の誘惑( 小さな願望)に負けることは無くなるだろう。四つ話のクローバーより
サルのマネジメント
サルのマネジメント
1分間マネジャーの時間管理 (フェニックスシリーズ) ケン・ブランチャード, ウィリアム・オンケンJr, ハル・バローズ パンローリング より、マネジメントについて考える。
本書では、マネジャーが膨大な仕事に追われながらも、生産性がなかなか高まらない理由を「サル」の比喩を使い論理的に説明している。
まずは、「サル」が何なのかを定義していこう。
サルとは「次の対応」である。
本書において1分間マネジャーと呼ばれている敏腕マネジャーが新人マネジャーである主人公に「サル」を説明する場面の内容がとてもわかりやすいので、そのまま引用する。
「僕は今、社内を移動しているとしよう。途中、廊下で部下とすれ違い、話しかけられる。『おはようございます、 課長。ちょっと、いいですか。じつは現場で問題が起きまして……』問題と聞いて無視するわけにはいかないから、僕は足を止め、部下の話に耳を傾ける。だいたいの説明を聞くうちに、あくびが出てくる。僕にとって、 その程度の問題は問題のうちにも入らない。しかし時間はあっという間に過ぎていく。腕時計に目をやると、5分ぐらいかと思っていた立ち話は30分にもおよんでいた」
「先方と約束した時間はすでに過ぎている。部下の話を聞くかぎり、指示を出す必要があることは分かったが、 どう指示していいのかはまだ分からない。そこで僕は『非常にゆゆしき問題だが、今はゆっくり話している暇がない。少し考えさせてくれないか』と一応の返事をする。そして、ふたりは別れた」
〈1分問マネジャー〉は話を続けた。
「今のやりとりを離れたところから観察していれば、ふたりのあいだに何が起きたのかは一目瞭然だ。ところが、渦中の当事者はほとんど分からない。立ち話が始まるまで、サルは部下の肩に乗っていた。立ち話が始まると、 部下の案件は僕と部下の共通案件になるから、サルは僕の肩に片足を移動した。そして僕が『少し考えさせてくれないか』と言った瞬間に、サルはもう片足も僕の肩に移動させる。部下は10キロほど身軽になって、その場を去るんだ。どうしてだか分かるかい?サルが僕の肩に完全に乗り移ったからだ。「部下の言う"問題"は部下が担当するプロジェクトで発生したとしよう」「部下にはその問題に対応するだけの能力がある。その場合、サルを預かった僕は、本来なら部下がやるべき仕事をふたつ引き受けたことになる。ひとつは問題への対応、もうひとつは進涉状況の報告。つまり、こういうことだ—— 」
サルのいるところに2つの役割が生じる。世話係と監督だ。「この例だと僕か世話係で部下がその監督。部下は自分が上役であることを確認したいから僕のオフィスを1日に何度ものぞいて『こんにちは。例の件、どうなりました?』と聞くわけだ。そして満足のいく回答が得られないと早くやれとせかし始める……本来は部下の仕事なのにね」
1分間マネジャーの時間管理 -フェニックスシリーズより
「次の対応」を引き受けるということは、サルの世話係を引き受けるということである。
本書の指摘は「膨大な仕事に追われながらも、生産性がなかなか高まらないマネジャーは自分の部門全体のサルの世話係になってしまっているのではないか?」ということである。
部下の仕事を上司がやってしまうという問題は、実際にあらゆる職場で起きている。 そして上司である当人はその状況を「自分は仕事をしている」と思っているのが何よりの問題である。
逆に優秀なマネジャーは自身の持つリソースの配分が非常に上手い。
他人の「サルの世話」に限られたリソースを使うのではなく、「サルの管理」にリソースを使うのである。
この違いを言い換えるなら、
前者は「サルの世話に自分のリソースを使う」
後者は「サルの世話に他人のリソースを使う」
ということである。
その結果として起こることは、
前者は「部下が増えるほどリソースが枯渇して生産性が低下する」
後者は「部下が増えるほどリソースが増え生産性が向上する」
というサイクルである。
ちなみに「部下に仕事をやらせているが上手くいかない」という場合は、「サルの管理」ではなく「サルの放任」になっている可能性を疑うべきである。 世話係が世話係としての仕事をできるようにすることも「サルの管理」の仕事の一つである。
サルの取り扱い方
では、サルはどのように管理していけばよいのだろうか? サルの管理者の仕事を考える。
サルを特定する
サルの正体を見極めるには「次の対応」は何か?を考えることである。
上司と部下は「次の対応」を決めるまで話し合いを切り上げてはいけないとしている。「次の対応」とは、例えば「最終コストの計算」「プレゼンの準備」「案作の再検討」「企画書の提出」「契約の締結」などだ。
1分間マネジャーの時間管理 -フェニックスシリーズより
上司と部下との間でサルを特定し、「次の対応」を共通認識にすることは重要である。 このステップを蔑ろにしてしまったことにより、部下が行動を起こせなかったり、見当違いな行動を起こしてしまったということは少なくない。
「このくらいは当然わかるだろう」という思い込みは絶対に避けなければならないということだ。
サルの担当者を決める
サルが特定できたら、次はそのサルの世話係を明確にする。
可能な限り、現場に近いポジションの者(部下)がサルの世話をするのが望ましい。
その理由は3つ。
- 一般的に現場にいる人間の方がそのサルの特性をよく知っており、世話係として適任であるということ。これは、普段からサルの発生源の近くにいる者の方が、そのサルが生まれた背景や周りの環境をよく知っていることや、サルの体調変化に気づきやすいということである。
- 全体の生産性を考えたとき、中枢のリソースが枯渇し、現場のリソースが余っているような状態は非常にもったいない。これは、それぞれのポジションの影響の輪の範囲の違いである。より影響の輪が大きい者にリソースを残した方がそのリソースは有意義に使用することができる。
- サルの世話を通して部下自身の経験値が上がる。これは、単純にOJTにより個の能力を高めるということである。マネジャーにとっては大した経験にならない仕事でも、新人社員にとっては学ぶことが多い仕事であったりする。この経験を通して部下のリソースの総量を底上げしておくのである。
このように基本的にはサルの世話は現場で行うようにするのだが、当然ながら例外のサルもいる。 それは、上級管理職にしか担当できないサルである。
このサルの特徴としては、
- サルの健康状態が会社の命運に直結している。
- サルの状態を把握するのに、より高高度からの視点を必要とする。
- サルにかかるコンプライアンス上の問題で上級管理職にしか取り扱えない。
- サルの世話に必要なスキルが現場担当者のスキルを大幅に上回っている。
などがあり、このようなサルを正当な理由なく部下に担当させることは上司としての職務放棄といえる。
ただし、担当者が上司であったとしても全ての世話を上司自身が行わなければならないということはない。 サルを切り分けて、部下のリソースで世話できる部分は部下のリソースを使っていくのである。 この担当者≠世話係という認識の有無がマネジャーとしての生産性に少なからぬ影響を及ぼしていると感じる。
極端な例をあげると、「会社の中長期の方向性を決めるプランを策定する」というサルに関しては、経営責任者が担当者であることは明らかである。 しかし、このサルに関わる全ての仕事を担当者(経営責任者)が一人でやらなければならないということはない。 必要なデータを各部門長に出させたり、参謀に考えられる複数のプランを出させたりとサルを部分で切り分けて世話係を委任するのである。 突き詰めれば担当者(経営責任者)が世話しなければならない部分は最終決断のみである。 それでもこのサルの担当者は経営責任者であり、彼が結果に対しての全ての責任を負う。
話が大きくなったが、マネジャーに関しても同じことが言える。部下のリソースが活用できるのであれば自分が担当のサルであっても世話を任せられる部分は任せていくのである。
いつまでに何をするのか?
「次の対応」を明確にし、担当者を決めたとしてもサルのケアとしてはまだ不十分である。 サルが「いつまでにどうなっているか」を明確にしなければならない。 ここでの期限は具体的に設定する。「来週中」ではなく「○日の○時まで」といった表現である。 そして、その時点でサルがどうなっていることを望むのかも明確にする。
これで無事サルは本来いるべき場所に収まることができたわけだ。
だが、サルの特定ができて、世話係も決まったらそれで終了というわけにはいかない。
サルは生き物なので世話係を任せるにあたり健康管理などのアフターケアについての取り決めも必要なのである。
サルに保険をかける
上司と部下はすべてのサルに保険をかけるまで話し合いを切り上げてはいけない。 保険には2種類あり、サルごとにどちらの保険を適用するのかを決めていく。
事前承認
1つ目の保険は「事前承認」である。 この保険のメリットは状況が手遅れになるのを防ぐことができることである。 デメリットはマネジャーの時問と現場の裁量が犠牲になるということである。 この保険が適用される状況はサルが抱えているリスクが大きい場合や世話係が未熟な場合などである。
事後報告
2つ目の保険は「事後報告」である。 この保険のメリットは部下にとっては自由裁量が増え、マネジャーにとっては現場を監督する手間が省けるということである。 デメリットは報告を受けたときにはすでに手遅れで、致命的なダメージを受ける可能性があるということである。 この保険が適用される状況としては、サルの抱えるリスクが致命的でない場合全般といえるであろう。 生産性の面を考えると、こちらの保険を使うサルが多い方が良いのだが、常に最悪の事態はシミュレーションしておくべきである。
保険の切り替え
サルの状態は流動的であるため、途中で保険の種類を切り替えるようなケースもあるので留意しておく。
サルを特定し、担当者を決め、保険をかけるところまでが初回の面談で行う内容だ。
ここからは、初回面談後のアフターフォローに関する内容だ。
サルの健康診断を実施する
サルの健康診断は「定期健康診断」と「緊急健康診断」とで構成される。
定期健康診断
上司と部下とでサルの定期健診の日程を決め、そのスケジュールでサルの健康状態のチェックを行う。
定期健診には2つの狙いがある。
1つ目の狙いは世話係の日ごろの成果を評価することである。 2つ目の狙いは問題の早期発見で、サルが病気で手遅れになる前に手当てすることにある。
定期健診の頻度は部下の成熟度とサルの抱えるリスクのレベルによって決めていく。
緊急健康診断
緊急健康診断の実施は世話係発信のものと管理者発信のものがある。 世話係発信の緊急健康診断のルールとしては、本書でマネジャーは以下のように述べている。
サルが病気にかかったら、まずは現場ができるかぎりの手を尽くす。それでも症状が長引いたり、悪化したりして、サルが治療に反応しなくなったときは心肺停止に陥る前に、私のところに診せにくる。
1分間マネジャーの時間管理 -フェニックスシリーズより
管理者発信の緊急健康診断はマネジャーが病気のサルを発見した場合において健診を前倒しで行い、治療を始めるというものである。
このケースでは世話係は「自分でサルを治療できる」と訴えるかもしれない。しかし、サルが病気になったことは動かざる事実であり、健診の前倒しは必ず行うべきである。 健診の前倒しを伝えることで世話係は健診日までに回復のために打てるだけの手を打って今後の治療方針に関しても考えてくることだろう。それだけでも健診を行う意義がある。 緊急健康診断の結果、サルの回復のためにマネジャーの助力が必要だと判断された場合にはマネジャーのリソースは惜しまず活用する。
以上の方法を用いてマネジメントを行っていくことで、現場に自由裁量を与えながらマネジャーのリソースを確保し、組織の生産性を高めていくことができると考える。
やる気の枯渇に効く3つの戦術
やる気の枯渇に効く3つの戦術
やる気の正体はウィルパワーである。
やる気の残量というものは実体がなく定義が曖昧であるので、心理学者のロイ・バウマイスターの提唱するウィルパワーという概念に沿って考えていこう。
ウィルパワーを一言で表すと「目標に向けて何かを成し遂げる前向きな力」である。
具体的な例で言い換えると「 タスクリストにある膨大なタスクを遂行するためのエネルギー」「日々の家事を行うエネルギー」「勉強をするエネルギー」であり、 やる気=ウィルパワーと考えて差し支えないであろう。
ウィルパワーを上手に使うには?
ウィルパワーを上手に使うには、ウィルパワーの総量をいかに高めるかだけでなく、いかに消耗させないかも同じぐらい大事である。
では、ウィルパワーは何によって消耗されるのか?
ウィルパワーを消耗させる要因は5つある。 それぞれ見てみよう。
ストレス
ストレスの原因は、人間関係や仕事内容など多岐にわたるがストレスにさらされている間は時間経過と共にウィルパワーを消耗していると考えてよい。
マルチタスク
マルチタスクもウィルパワーを消耗する原因である。マルチタスクをこなす場合、脳は同時に複数のタスクを処理しているようにみえても実際には複数のタスクを切り替えながら処理しているのである。 自転車を漕ぐにしても、電化製品の電源を入れるにしても、あらゆることの初動には最も多くのエネルギーを要する。 これは脳においても例外ではない。 マルチタスクでこまめに処理を切り替えるということは、それだけ処理の初動を増やすことでありウィルパワーを激しく消費するのも当然と言える。
労働
労働もストレス同様に時間経過と共にウィルパワーを消費していく。 連日残業が続くなどすると慢性的なウィルパワー不足になることもあるので注意が必要である。
血糖値の低下
ウィルパワーの原料は睡眠とブドウ糖である。 ブドウ糖の不足は低血糖状態を誘発し、それはウィルパワー不足へと直結する。
決断
これは人生を左右する大きな決断から、レストランのメニューを選ぶ小さな決断まで日常の生活でも様々なものが存在する。 生産的であるためには大切な決断にウィルパワーを投入し、その他の事には極力ウィルパワーを使わないようにすることである。 スティーブ・ジョブズがいつも同じ服を着ることで無駄にウィルパワーを消費しないようにしていたことが好例である。
このようにウィルパワーを消耗させる要因は日常生活の中あらゆるところに潜んでいるので、ウィルパワーの消費を節約しつつ不足に陥ってしまった時には速やかに回復させる手段を身につけることが大切である。
戦略的にウィルパワーを回復する。
仕事中に眠気や空腹感、ネットサーフィンなどの誘惑を感じるのはウィルパワー枯渇のサインである。 そして、それらの誘惑に乗ることは睡眠や糖分補給、ストレスから注意を逸らす行為であり、ウィルパワーを回復させる手段と繋がっている。 だからといって欲求のままに誘惑に乗ることは賢明とは言えない。
同じ休憩をするにしても戦略的にいこう。
誘惑に負けてとる休憩は受け身であり罪悪感が残るため、セルフイメージを下げるという結果に繋がる。 それでいてウィルパワーの回復効果はそれほど高くない。
逆に戦略的な休憩では、主体的な行為であるため自己肯定感が高まり、セルフイメージを高めるという結果に繋がる。 そして、計画された休憩であるため効率的にウィルパワーを回復させることができる。
では、ウィルパワーを保つための具体的な戦術について見ていこう。
ウィルパワーを維持するための3つの戦術
ウィルパワーは睡眠とブドウ糖によって作られる。 これが一般的に午前中は生産性が高い時間と言われている理由だ。 よって、ウィルパワーの回復を考えるにあたって睡眠と糖分補給は必須の要件である。
パワーナップでウィルパワーを回復させる
戦術の1つめは睡眠によるウィルパワーの回復だ。
パワーナップと呼ばれる短時間睡眠による脳内メモリの解放法がある。 これは平たく言えば「昼寝」である。 ただし、科学的に研究された昼寝ということがポイントだ。 理論的にはスリープ・イナーシアを回避するための睡眠として…とあるが、簡潔に言えば「頭がスッキリして気持ち良く起きられる睡眠時間で昼寝する」ということだ。
やり方は至って簡単。 20分後に目覚まし時計をセットして仮眠する。 以上。 更に効果を高めるために仮眠の直前にコーヒーを1杯飲むというのもある。 これはカフェインの効果が20分後に効いてきてより目覚めを促進させるためである。
パワーナップにおいて大切なことは30分以上寝ないこと。
30分以上寝てしまうとスリープ・イナーシアという睡眠の惰性が発生してしまい気持ち良く起きられないのである。
パワーナップは実際に行うと、その効果の高さに驚く。 20分間の睡眠であっても長時間しっかり眠ったような感覚で頭がスッキリしているのがよく分かる。 私はパワーナップがウィルパワーの回復効率が1番高いとも感じている。
低GI食品摂取でウィルパワーを回復させる
戦術の2つめは低GI食品摂取でのウィルパワーの回復だ。
前述のようにウィルパワーの原料として糖分補給は必須である。 糖分補給の速効性だけで見れば吸収の早いブドウ糖が1番なのであるが、戦略的に1日の生産性を高めるという観点から見ると低GI食品と呼ばれている食品がよい。
ブドウ糖が最善でない理由は血糖値の上昇速度による。 ブドウ糖は吸収が早く急激に血糖値が高まるため、体が高まった血糖値を下げるために膵臓からインスリンを分泌する。 インスリンによって血糖値が下げられることで結果的に短時間での血糖値の上下変動が生じる。この生理作用はウィルパワーにとっては好ましいものではない。 理想は安定して少しずつ糖分補給を行うという状態である。 だからといって5分ごとにブドウ糖を少しずつ摂取するというのは非現実的である。
ここで低GI食品の出番である。
GI値とは、その食品が体内で糖に変化し、血糖値をさせる上昇スピードを表す指標のことであり、低GI食品はそのスピードが低いもののことである。 つまり、低GI食品を1回摂取することでブドウ糖を少しずつ何度も取り続けるのと同様の効果を得ようというわけだ。
間食でウィルパワーを補給するのに適した低GI食品としてはナッツ類がよい。 ちなみにダイエットにも使用される。 摂取量としては片手に収まる程度が目安だ。
マインドフルネスでウィルパワーの浪費を抑える
戦術の3つめはウィルパワーの浪費を抑えるためのマインドフルネス瞑想だ。
この戦術は前述の5つのウィルパワー消耗原因のうち、ストレスとマルチタスクに対して特に効果を発揮する。
マインドフルネス瞑想は仏教の瞑想などをベースにし、宗教色を排した心のエクササイズの一種で、集中力の向上やストレス軽減効果が期待されている。
マインドフルネスでは何をするのか?
マインドフルネスの大切な特徴の1つは、「今の瞬間」に意識を向けることです。
グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティスより
マインドフルネス瞑想のやり方は、座禅を組むなどして、呼吸に意識を集中させる。 途中で様々なことが頭に浮かぶが、気にせず再び呼吸に意識を戻す作業を繰り返す。 これを1日10~30分、3~7週間続けると思考や感情をコントロールしやすくなる。
そのほかに心に浮かんだことを言語化する「ラベリング」、それをひたすら紙に書き続ける「ジャーナリング」、食べ物の味や舌触りをじっくり観察する「イーティング」がある。いずれも自分の思考や状況を客観的に捉え「今」に集中する癖をつけるのが目的だ。
マインドフルネス状態は究極のシングルタスク状態とも言える。 マインドフルネス瞑想で鍛えた脳は、瞑想後も長い間、マインドフルな「状態」を維持できるようになるので、ストレスやマルチタスクでウィルパワーを消耗するのを抑えることができるようになる。
これらの戦術を1日という時間枠の中で戦略的に活用し、生産性を高めていこう。
書くことで考える
書くことで考える
書くことは考えることのトレーニングになる。
なぜ書くことは考えることのトレーニングになるのか?
その理由は以下の3点である。
1.メッセージを意識する
文章を書く力がつくことは、内容のある話ができるようになることでもある。 なぜなら、それは考える力がつくからだ。 書くときには、どれだけ自分の考えに意味があるのかを確認することがポイントになる。 それによって、書くこと自体が考えるためのトレーニングになる。
原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)より
文章を書くということは、何かを伝えるということである。 その伝えたいことは、メッセージとしてどれだけの価値があるものなのかを自問自答する中でメッセージは磨かれ考え方の中核ができていく。
2.頭の中にある情報を整理する
理解していないことは文章にできない
思考を綿密にしていく作業が、書く作業にはともなう。 だから、書くことで脳は鍛えられる。
原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)より
なんとなく理解していると思っていても、実際には理解できていないということは多々ある。 本当に理解しているのかということは文章を書くことでハッキリする。 文章を書くための思考を綿密にしていく作業において、真に理解していることと、そうでないことが明らかになるのである。
思考のループを抜け出す
頭の中だけで思考をすると同じような考えを繰り返し、考えが前に進まない。 この問題を解決するためには考えたことを頭の外に書き出すという行為が有効なのである。 考えを文字にして書き出すことで多面的に捉えることができる。
書き出したテーマに関して何度も思考する
ここでは立体的に思考するということが大切である。 具体と抽象を行き来し、その中でアナロジーを見出す。 拡散と収束で思考を練る。 トップダウンとボトムアップを繰り返すことで思考をシェイクして深みを出していく。 これらの方法を繰り返し、視点の高度や方向性を意図的に変えていくのである。
3.全体の構造を意識する
400字詰め原稿用紙で四~五枚のものなら、思いつきで書けてしまうことがある。 しかし、10枚以上のものになると、書きはじめる前に、十分に「構築」をしないと書ききれなくなる。
原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)より
全体構造を意識することで話の繋がりを意識するようになる。
話の繋がりを意識することで論理的に思考する訓練になる。
全体構造を意識した論理展開ができるようになると、意図した寄り道ができるようになる。
これは、文章の繋がりを意識しアウトラインが見えていることで話が脱線しても、話の本筋に戻ることができるようになるためである。 この意図した寄り道の能力が身につくと、日々の会話やプレゼンにおいても絶大な効果をもたらす。
ところで「文章が書ける」とはどういうことなのか?
「文章が書ける」を定義する
私の感覚では400字詰め原稿用紙1枚が1キロにあたる。 10キロをいきなり走れと言われたら、ほとんどの人が尻込みするだろうし、まず走れない。 しかし、トレーニングをこなせば、10キロ程度ならだれでも走れるようになる。 この10キロ走るという経験と、走れたという自信がもっとも大切なのだ。 私は、書くことにおいては、原稿用紙10枚という長さを書けるかどうかが分岐点だと思っている。 そして原稿用紙10枚を怖がらない人を「文章が書ける人」と定義している。
原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)より
原稿用紙10枚を書けるようになるということはどういうことか?
原稿用紙10枚を書けるようになるということを言い換えれば、1つのテーマで4,000字書けるようになるということである。
「文章が書ける」ようになるには?
4,000字の文章を難なく書けるようになるには基礎トレーニングが必要である。
文章を書くための基礎トレーニング
3つのプロセスでの文章構築
文章を構築する3つのプロセス
1.書きたいテーマ(もしくは気づき、主張)を見つける
書きたいテーマの候補を見つけるために日々の経験や着想の断片を集める。 着想を逃さないためにメモを取るのである。 そのため、どのような状況でも10秒以内にメモをとれる用意をしておく。 手段はアナログデジタルを問わない。 それどころか、文字である必要もない。 写真や音声による記録も立派なメモである。 大切なことは必ず記憶ではなく記録に残すということだ。
たった数日でも記憶は暖昧になる。 たった数時間でも記憶は薄れていくのです。 だからこそ、記憶力に頼らず、時間がたっても腐らないメモを書く技術が必要です。 そう、いつでも、メモを見るだけでそのときの発言やポイントが思い出せて、何を考えるべきかが、すぐにわかるメモ。 未来の自分に、考えるきっかけを残すメモを書くべきなのです。
仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。より
メモは一箇所にまとめて保管する。
メモの一元管理の場としてのEvernote
Evernoteを使用する理由は以下の3点である。
1.あらゆる形式のデータをひとまとめに保管できる アナログメモ、デジタルメモ、ウェブクリップ、写真、音声…等の全てを1つの形式で1カ所に管理し、あらゆるデバイスでアクセスするということを考えると現時点では、Evernoteの1択であると思われる。
2.優れた検索機能 着想や経験などのネタの断片を集める段階においては、将来的にどのように活用されるか定まっていないものも多く、その時点ではクラスタリングや階層化できないものが大半である。 Evernoteは検索機能が優れているので、ネタの断片はとりあえずEvernote内に溜め込んでおき、然るべきときに検索をかけることで再浮上させるという方法が上手くいく。
3.コンテキストによる関連情報の検索 Evernoteのコンテキスト機能とは各ノートに関連するノートや記事を自動的に表示するというものである。 この機能により、過去に書いた着想の断片やクリップした記事、時事などの情報と思いがけず出会うというセレンディピティを期待できる。 そして、このセレンディピティは思考に良い刺激を与えるのである。
一定量の着想の断片が溜まったら書きたいことのテーマを決める。
2.テーマから3つのキーコンセプト「言いたいこと」をつくる
テーマから何を主張するのかを明確にし、3つのキーコンセプトを打ち立てる。 つまり、何をメッセージとしたいかをハッキリさせるということだ。 前述のように、このプロセスも考える力をつけるトレーニングになる。 集めた情報や着想という土台の上に、主となるメッセージである3つの柱を立て文章の建築を次のステップへと進める。 ここで注意すべきことは3本の柱の距離である。 即ち、3つのキーコンセプトがあまりに近しい内容であると、出来上がる構造物は狭いものになってしまい、安定感にも欠けるということだ。 逆に3つのキーコンセプトが遠く離れた内容であれば、話の内容が広く展開する大きな建築物が建てられるが、その場合にはそれぞれの柱を繋ぐためのスキルが書き手に求められる。
3.キーコンセプトを結び付けて文章を構築する
キーコンセプトを結び付けるには、「起承転結」のうちの「転」を意識するとよい。 アウトライナーを使用してセンテンスを移動させたり、言い換えたりすることも効果的である。 これらのプロセスを経て、形となった文章をアウトプットする。
このようなアウトプットを繰り返し行うことで、書く力だけでなく、自分の頭で考える力や口頭で伝える力が鍛えられていく。
部下の変化を起こすためのパラダイムシフト
部下の変化を起こすためのパラダイムシフト
内側から変化を起こすにはどうすればよいのか?
NLPでは「変化は3つの方向から起こすことができる」と言われています。
3つの方向とは、
「課題についての話し方を変える」
「課題についての考え方を変える」
「行動を変える」を指します
コーチングのすべて――その成り立ち・流派・理論から実践の指針までより
それぞれの要素を具体的にみてみる。
「課題についての話し方を変える」とは?
「もしこの目標が達成できたら、何が実現しそうですか?」と尋ねられた場合、「もし」という言葉には「不確かさ」の意味がある。
「この目標を達成した時には、何が実現しますか?」という質問では「確信」を感じさせる。
後者のような話の進め方をミルトン・モデルという。
ミルトンモデルとは、催眠療法の第一人者として有名なミルトン・エリクソンがクライアントに対して使用していた巧みな言葉遣いを分析・体系化したものだ。
ミルトン・モデル
リソースや可能性があることを前提に話を進める。
曖昧な表現を使うことで、相手のリソースから連想させる。
NLPでは必ず「違いが何なのか」を明確にする。
現状と将来がどう違うのか、その差を五感の感覚を通して明確に知ることこそが、重要なのだ。
他の質問例としては、「あなたには何かリソースがありますか?」という質問はクローズド・クエスチョンで、前提としてリソースそのものを答えるようにはできていない。
この場合、「あなたが持っているリソースのうち、その状況に対応するにはどれが1番適切でしょうか?」という質問の方が有効だ。
この質問は相手の関心を自分のリソースに向けさせる。
「課題についての考え方を変える」とは?
イメージの具体化
課題に対する考え方が、解決の妨げとなっている可能性がある。
そこで、色々な表象システムを利用するよう勧める。
例えば「将来に関する絵を描く」ことは、「将来について考える」ことよりも有効で、確実に具体化が行える。
事実を見る
「判断」を問題とする場合、「誰がその判断をしているか」「その判断は何を基準にしているのか」を質問する。
「行動を変える」とは?
行動(原因)を変えることにより未来(結果)を変化させる。
行動後の変化のフィードバックが好ましい時には、その瞬間の感情に浸り(アソシエイト)、イメージを鮮明に残すことで良いイメージに再現性を持たせる(アンカリング)。
行動後の変化のフィードバックが好ましくない場合は俯瞰の視点で全体を観察(ディソシエイト)し、事実を分析し、次の行動に活かす。
たった1つの効果的な質問は、トップダウンで行う1時間の面談を上回る効果がある。
思考のパラダイムシフトを起こさせるには、『質問力』がキーとなるのだ。
判断とは選択肢の中から選ぶということである。
判断とは選択肢の中から選ぶということである。
「なぜAを選択するのか」とAだけにポイントを絞って根拠を考えるよりも、「なぜBではなくAを選択するのか」と比較して考えたほうが、Aを選択するということの根拠が、さらに深く、説得力のあるものになります。
世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業より
人は何かを判断するときには必ず選択をしている。
何もないところから決めているように感じたとしても、実際には無意識下で選択肢の中から1つを選んでいるに過ぎない。
よって、選択肢がなんであったのかを明確にすることで思考プロセスを辿ることができて根拠や説得力というものが生じるのであろう。
そして、選ばなかった他の選択肢をすべて完全に消し切った時に判断は決断(決意)となるのであろう。
「想い」は単なる願望。
他の選択肢を捨てたときに「決意」となる。
この1冊ですべてわかる コーチングの基本より
決意の本質をついた言葉だ。
安易な目標は願望になってしまうことが多い。
その目標のために何を捨てるのか?
捨てるもの一つ一つに対して真剣に考え抜き、全て捨てることに迷いがなくなるまで自問する。
願望と決意の違い
ダイエットにおける願望と決意
例えば、ダイエットに関していえば。
「2ヶ月で5kg減量する!」
これは決意ではなく、願望である。
「毎日朝30分早く起きてランニングする」
「間食はしない」
「22時以降は食事をしない」
「飲み会の誘いは全て断る」
これらは願望を実現するための決意といえる。
捨てるのは、睡眠欲や食欲が満たされるといった快の感情。
誘いを断ったら相手からネガティブな印象をもたれるかもしれないといった感情。
その他にも色々あるであろう。
そして、これらの決意を破ったのであれば願望は叶わないと思った方がよい。
逆に正しい決意に従って行動できたのであれば願望は叶う。
試験における願望と決意
私は大学生の時、受験対策のオリエンテーションで「過去のデータからこの国家試験に合格するには〜の集中講義を受講し、予備校にも通うべきだ。それらをしなかった過去の学生の合格率は10%である」などと脅された。
その因果関係は正しくないことは分かっていた。
集中講義を受けたから合格したのではなく、合格した人が集中講義を受けていただけのことである。
その日から卒業に必要な試験以外で学校に行くことはやめた。
通学時間がもったいないし、余計にお金を払うことはない。
そして国家試験合格のために決意したことは3つ。
1.毎日、実際の試験と同じ数の問題を解く(わからなくても何かしらの答えは出す)。
2.マルツケをし、間違えた問題は解説を読む。
3.試験日には、試験に間に合うよう会場に到着する。
この3つの決意を守れば必ず合格できると確信していた。
1.の決意の理由は本番に必要なスタミナと時間感覚をつけるためと、実行可能な問題数であるためであった。
始めは過去問題を解くという形をとった。
それまでまったく勉強していなかったので、問題を読んでも意味がわからない。
とりあえず適当な理由をこじつけながら答えを出すといった作業の繰り返し。
2.の決意においてのルールはただ解説を読めばよいというもの。
覚えなくていいし、理解もしなくていい。ただ読む。
当てずっぽうだったとしても、正解した問題に関しては解説を読まない。
想定はしていたものの初日は莫大な時間がかかった。
しかもまったく理解できていない。
そこから1週間は同じ状態が続いた。
精神的にも体力的にもなかなかキツかったのだが、決意と確信があったのでルールは変えずに続けた。
2週間程経つと以前に解いた問題が目に付くようになり始めた。
この頃から所要時間も減り始めた。
1ヶ月経つと前に見たことのあるような問題がほとんどになった。
3ヶ月経った頃には過去45回試験を受けている(2日間かけて行う試験のため)状態なので答えを出すことに関してはかなり熟練している(本当に理解しているかは別として)。
この時期に全国模試があった。この模試は卒業の要件であったため受験した。
結果は全国上位1%であった。
3ヶ月前は下位10%であったので自分でも驚くほどの大きな進展だ。
その後は自信がついたことと、問題解きにかかる時間が日に日に減っていったことで精神的にも体力的にもストレスがなくなった。
それでも3つの決意は守り問題解きは続ける。
半年経った頃にはすべての行程が3時間かからずに終わるようになったので、午後は罪悪感なく好きな事をして過ごした。
そして、試験日が近くなると会場から徒歩圏内のホテルを予約した。
今考えると「試験に間に合うよう会場に到着する」というのは願望の方であった。
決意を正確に表すのであれば、「試験会場が決まった時点でホテルに予約の電話をいれることと、ホテル代を支払う」ということになる。
その後、試験は無事合格した。
このように何か成し得たい願望があるのであれば、その願望が実現すると確信できるだけの行動(すること、しないこと)に対して決意するのである。
行動に対して決意できないのであれば、それはただの願望で終わることであろう。
そもそも心の底から望んでいることではないのであろう。
【読書メモ】ユダヤ人大富豪の教え
主人公(著者)が、「3日以内に1000人分の署名をもらう」「電球を1000個売る」など、数々の課題を乗り越えながら、お金持ちになるための心構えや手法を学んでいく。
困難にぶつかったときに創造的なアイデアを出せるかどうか、自分らしい人生を生きることに集中して、お金のことや成功することを忘れられるかどうか、自由人と不自由人で異なる人生のルールを受け止められるかどうか…。
含蓄に富んだ言葉は枚挙にいとまがない。
メンターとなる老人との「対話形式」を採用することで、あたかも自分が大富豪の教えを受けているかのような感覚になるのも、本書の大きな魅力である。
思考の力を使い、望む未来を引き寄せる
物語の中で主人公のメンターとなる老人ゲラー氏は思考の力について何度も言及している。
多くの人の最大の問題は、理想の状態をイメージしないことなんだ。
君がやらなければならない最初のことは、自分の望む人生をイメージすることだ。
望む人生をイメージする。
望む人生について日々本気で考えている人はどれだけいるのであろう?
「自分の望む人生なんてわかっている」と思っている人も多いと思うが、本当に鮮明にイメージできているのだろうか?
なんとなく、「愛する人がいてお金も時間もあって…」程度にしかイメージできていない人がほとんどなのではないか?
鮮明なイメージとは五感全てを使って描くものである。
理想の人生ではどのような景色を見ている?
どのような声を聴いている?
空気は澄んでいる?
気候は暖かい?
そこで食べる食べ物の味は?
ゲラー氏はそれらを全て本当に体験したかのごとくイメージせよと教えているのだろう。
自分の話す言葉に注意しなさい。
ふだん君が話していることは、君の未来をつくる。
君が人の悪口、否定的なこと、ゴシップ話をすれば、君の将来はそういったネガティブなもので満たされる。
君が、希望、ビジョン、豊かさの話をすれば、君の人生は喜びと豊かさに満たされることになるだろう。
この言葉に関しては、今までの人生で出会ってきた人のことを思い出せば、その差は歴然であろう。
ネガティブな環境にあるからネガティブな発言をするのか?
ネガティブな発言をするからネガティブな環境になるのか?
ともかく、「自分が何を感じているか、考えているのか」に意識を集中させなさい。
そして、自分が何をやるのが好きなのかを探しなさい。
やりたいことが見つからないという病の原因は社会的に瞬間の感情にフォーカスする機会が減っていることにあるのかもしれない。
現代は全てにおいてスピードが速い。
その上、自動化が進んでいる。
自分が何を感じているのかを意識的に見つめなければ、それを感じる間もなく通り過ぎていってしまうのだろう。
日常的に考えていることが人生をつくる。
金持ちは日常的に豊かさ、新しいチャンス、楽しいイベントのことを考える。
お金に縁のない人は、月末の支払い、イヤな上司、リストラ話など貧困につながるようなことばかりを考えている。
どこに、ふだんの意識を集中させるかで、君の将来が決まるといえるだろう。
この言葉に対しては、「金持ちだからお金の心配をしなくて済むんだよ」という意見も当然あると思うし、それはそれで一理あると思う。
貧困につながるようなことは考えず、豊かなことばかり考えているが経済的にはさほど裕福でもない人もいるであろう。
それでも自分としては同じ経済状況なのであれば、心配事ばかり考えている人生よりワクワクすることばかり考えている人生を選びたい。
自分の望む現実に意識をフォーカスすることだ。
人生でいいことが起こると思っている人間には、いいことが続けて起こるものだよ。
自分の思考が何にフォーカスしているのか、常に意識しなさい。
望む未来が十分にイメージできたら、そこから強くフォーカスすることが大事である。
虫眼鏡で太陽光を集めて火をつける感覚だ。
鮮明な全体イメージを凝集し、今という一点に集中するのだ。
望む未来にフォーカスしたら、行動を起こす。
目標は、この注文のようなものだ。
何が欲しいか言ってあげないと、ウエートレスの人も困ってしまう。
はっきりと何が欲しいかを言ってあげなければいけない。
どういう仕事がいいのか、どんな人生
が欲しいのか、一つひとつはっきりさせていけばいい。
そのオーダーを伝えると、ウエートレスの人が、その人生の値段を言ってくる。
宇宙レストランの値段はお金ではなく、行動で支払うことになっている。
欲しいもののための、行動リストを書いて、そのとおりに行動する。
そうすると、注文どおりの人生がやってくるというわけだ。
シンプルだろう。
ここで、行動リストをつくってもなかなかその通りに行動できないというときには、その前段階であるイメージやフォーカスが不十分な可能性がある。
本心では「正直そんな値段(行動)を払ってまで手に入れたい未来ではないかな」と思っている可能性もあるので、「ほんとのほんとに何よりも望む未来なのか?」と自問してみよう。
豊かな者のお金の使い方
ゲラー氏はお金の使い方にも哲学をもっている。
豊かな者は他者を幸せにするためにお金を使いたがり、貧しい者は自分のためにお金を使いたがるとのこと。
貧乏人の口癖は、「ふだん頑張っているご褒美に買っちゃおう!!」
一方、金持ちの口癖は、「いまの私には必要ないな。またにしておこう」
これは耳が痛い。
自分は完全に前者だ。
対策をご教授願おう。
欲しいものが出てきたら、一週間待ちなさい。
それでも欲しいものは、もう一週間待ちなさい。
それでも欲しければ、そこで買ったらいい。
この少しの時間を待つクセがあれば、余分なものを買う確率がぐんと減る。
二週間か…自分にとってはなかなか長い時間に感じる。
それでも、その二週間で気持ちにどのような変化が起きるのかは試してみたいとも思う。
やってみよう。
ビジネスを始める
「スタートはできるだけ小さくすることだ。
勤めている会社をすぐ辞めてしまったり、いきなり大きなお店を始めたり、リスクを犯さないほうがいい。
小さくスタートしていれば、失敗しても損失は多くない。
また、準備をしてやり直すことができる。
また、うまくいきだしたからといって、急に拡大しないことだ。急拡大すると、大きなひずみができる」
自分で事業を始めるほとんど全ての人は、高い志や野望をもっている。
そして、失敗のことより成功のことを考えている。
ゲラー氏は大きなリスクは極力避けるよう諭している。
これはどのような成功者であっても数多の失敗を経験することをゲラー氏自身が熟知しているためであろう。
失敗すること前提で考え、いかに早く立ち直るかというところに主眼を置いており、致命傷などもってのほかというわけだ。
成功したければ、いい加減な準備では不可能だ。
最後のつめのほんの数パーセントが普通と大成功の差を生むのだから。
失敗前提だからといって、なんとなくで始めていいものでもないことを諭している。
もちろん成功するための準備なのではあるが、失敗したときに得るものの違いもあるのであろう。
仲間はどうする?
事業を始める時、ひとりで全てをやるには限界がある。そうなると仲間が必要になる。
あまり、最初は有名な人は雇わないほうがいい。
というのも君みたいな若者にはかまってくれないだろうから。
それよりも、君と一緒にゲリラ戦を戦ってくれる、若くてできる奴を雇いなさい。
「ゲリラ戦を戦ってくれる、若くてできる奴」というのは心底頷ける。
新規立ち上げの事業などはほぼ全てがゲリラ戦といってよい。
大企業の管理職の仕事とはまったく異なる。
まず体力がいる。
新たに学ぶべきことも山ほどある。
会社がその労力に見合った待遇を与えられるかも定かではない。
ただただ未来を信じてもらうしかない。
そんな仲間を見つけられるかどうかも一つの分かれ目であろう。
【読書メモ】部下を育てて自分も育つ 5つのマネジメント・プロセス
部下を育てて自分も育つ 5つのマネジメント・プロセス
二宮靖志
日経BPコンサルティング (2012-03-22)
ISBN:9784864430012[
組織活力向上のためには人の成長への投資が欠かせない。
人の成長促進のためには自身よく考え、部下にもよく考えさせることだ大切だ。
そのためマネジャーにはファシリテーターとしてのスキルも求められる。
また、マネジャーは常に自身のアンテナの感度を高めておくことも求められる。
そのためには現場を歩く感覚を持ち続けるとよい。
現場を歩き、よく観察し、社内外の変化やニーズに誰よりも敏感であるよう心掛ける。
現場最前線の経営者として利益に対しての意識を強く持つ。
「チーム全体で売上をどこまで伸ばし、利益をどのくらい確保するか」
「どの顧客に重点を当ててメンバーの活動を集中させるのか」
「どのような商品を開発し、どのようなサービスを充実させるのか」
これらの目標を定め、自身も前線に身を置きながら一緒に取り組む。
OJTは成長の機会であり、3年後に仕事を通じてどのように成長していることを期待するかというビジョンをもって行う。
本人への期待はアサインをもって表明する。
アサインの際にはマネジャーが部下のどのような強みに着目し、今後どのような成長を遂げてほしいと感じているかをしっかり伝えることを避けてはならない。
変革を生み出すために現状より一段上の目標を設定する。
チームの現状と理想から 経営計画の逆読みをし、チームとしての目標を定める。
経営計画の自問自答を繰り返し、経営トップの思考プロセスを辿ることで、目標の核心を得る。
初めから安易な定量目標を立てるのではなく、組織の定性目標を定めた後に期間毎の定量目標へとチャンクダウンする。
チームの目標はメンバー間で共有する。このとき、チームの目標を腹に落とすためにはチームメンバー各々が自分の頭で、その目標ができるに至ったプロセスを考えることが必要である。
マネジメントを通して自身も成長していく。
自身に対しても常に成長課題を課すことで次のステージへの階段を登っていく。
人は現在の自身のレベルより一段上のレベルの環境に身を置き、そこでの試練の連続を乗り越える中で成長していく。
マネジャーは個々人のもつスキル、感性、ノウハウをよく理解し、アサインをもって成長のための環境を与えることが仕事である。
3.実行徹底のためのPDCAの仕組み
PDCAサイクルを回す上で大事なことは実行の徹底である。
特にCheck,Actionの徹底がなされていない組織が多い。
Check,Actionを徹底するためには以下の3点の必要性を認識する。
⑴時間の投入
Check,Actionを行うための時間枠を事前に設ける。
Check,Actionは片手間に行えるものではないので集中できるまとまった時間を用意しておく。
⑵定期レビュー
レビューは2週間、月次、四半期、年間とそれぞれのチャンクで行う。
⑶チーム討議
チームのメンバー全員で仕事の深まりを討議する場をつくる。
チーム討議はメンバー同士の多面的な意見の交換ができ、一人の意見から新たな気づきがもたらされたり、新しい発想を生むプロセスにもなり得る。
また、PDCAサイクルを回すという面においても現場を歩く感覚を忘れてはいけない。
マネジャーが現場前線で問題点の吸い上げを行い、改善のためのPlanを立てるのである。
チームで人を育てるということにおいて、マネジャーは人の成長に対しての並々ならぬ熱意と信念が要求される。
熱意と信念に関してはスキルではなく個人の資質であるので、この2つはマネジャーの素質という見方もできる。
成長促進のためには昇格も有効な手段である。
しかし、年功序列による昇格や無意味な階級の設置は組織の成長を妨げる要因にもなりかねない。業績見通しに基づいて人員枠を設け、適切な競争において昇格を行っていく。
成長のカンフル剤としては以下の3点が重要である。
⑴ほめる
日常のコミュニケーションの中でよくほめていくことが大切である。
⑵認める
本人の実績に対してのフィードバックも随時行っていく必要がある。
⑶報いる
報いる際に用いる方法としては賞与と昇格があるが、それぞれのもつメッセージは異なるので正しく使い分ける必要がある。
賞与は短期実績に対する報いであり、直近の実績を認めるというメッセージをもつ。
賞与を与える時には今回の賞与の根拠の説明と次期目標の設定に関して伝えることを忘れてはいけない。
昇格は長期実績に対する報いであり、3年間を振り返っての成長を鑑みて、次のステージへの階段を登らせるというメッセージをもつ。
昇格に関しても根拠のフィードバックと次の階級においての期待する目標をしっかりと伝えなければならない。
「もうどんな環境でも自分は大丈夫」と思えた瞬間に真の安心感を手にする
「もうどんな環境でも自分は大丈夫」と思えた瞬間に真の安心感を手にする
成長とは自身の変化である。
成長とは何か?
人生は変化だ。
大きな変化もあれば、小さな変化もあるけれど、変化がなければ成長もない。
この一節から思うに、成長とは人生で遭遇する様々な変化に適応するために自身も変化をしていくということなのであろう。
では、どのような変化が起きたときに人は成長するのか?
その成長は計画的にできるものではありません。
予期せぬ問題に直面し、こころや感情が揺さぶられるようなつらい体験をし、それを乗り越えたときに達成できる心理的な成長です。
そのためには、困難や苦しみから逃げ出してはいけない。
たとえ自分が不快に感じることでも、精神的な痛みを感じようとも、勇気を持ってその挑戦を受け入れることができた人にだけ与えられる報酬なのです。
世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方より
たしかに。
逆境にもまれて成長することは多い。
正確には現状と理想との隔たりを感じたときに前向きに隔たりを埋めに行くときに成長するといった感じだろうか?
目標と現状をしっかり認識すること、そこから目標に近づくためのステップを設定し、一歩ずつでも確実に進んでいくことが重要なのではないか。
ただ、人は逆境にもまれて成長することが多いということには同意するが、私は成長の過程が必ずしも苦しいものではないと思う。
「自分は毎日少しずつ改善し続けている」という自覚だけが、人生で唯一の安心感の源だ。
自分の能力、人生の質を高めるために、たゆまぬ努力をしているのだから、現状維持など気にしなくてもいい。
おかげで、「いつも新しいことを習得し、人間的に成長している」という確信が持て、悔いの残らない人生を送れるのだ。
アンソニー・ロビンズの自分を磨く (単行本)より
そう!この感覚!
安全地帯に居座り、これから先もずっとこの場所がなくならないようにと願っているときには安全地帯にいるにも関わらず不安がつきまとう。
逆に不安定な流れの中にいながらも自身がその瞬間瞬間でベストと感じられるように行動しているときの方が未来に対しての不安が少ないのだ。何より楽しい。
たぶん、自身成長と思われる変化を繰り返す中で「もうどんな環境でも自分は大丈夫」と思えた瞬間に真の安心感を手にするのだと思う。
成長のために必要なことは?
では、成長するためには環境の変化以外に何が必要なのか?
成長のための行動には何よりまずモチベーションが大切であり、原点であると考える。
モチベーションは現状と理想との溝を埋めるための原動力といえる。
何にモチベーションを得るのかは人それぞれではあるが、根本は苦痛の回避か未来への希望である。
そして、この2つのうちどちらの方がエネルギーが強いかといえば前者である。
それゆえに通常人は苦痛と希望が競合した場合には苦痛回避の方向に動いてしまうものだ。
それ自体は必ずしも悪いことではない。
それに抑えようとしても、苦痛回避は生存本能からくるものなので仕方がない。
人が理性と知性をもって成長のために自身の望む方向に仕向けるのであれば苦痛を味方につけるとよい。
つまり、望まない行動を起こしたときに苦痛が発生するという仕組みをつくるということだ。
遊びは全力でやる。前のめりに学ぼうとせず瞬間を楽しむ。
自分が熱中している遊びに関しては、素直に楽しむことに全力を注ぐだけで驚くほど成長する。
これは脳は楽しいと感じるときに神経細胞のネットワークを強く構築することが一因なのだと思う。
ここで楽しいと感じる範囲を超えて「学ばなければ」という姿勢になってしまうと、かえって成長が遅くなってしまうので注意が必要だ。
そもそも心底楽しいと思える遊びでなくなってしまったら続ける意味もない。
ポジティブな外力の影響を受ける
人は外力の影響を受けながら生きている。
それは環境であったり人であったりする。
外力に影響されない人間を目指すより、ポジティブな外力の影響下に身を置き、高みを目指す方が容易ではないか?
どの場所に身を置くかを積極的に考え、行動に移すことも大切である。
今いる環境、周りにいる人からはポジティブな影響を受けているか?
ネガティブな外力の中で自分のいる位置を相対的に見て「周りに比べれば…」と安心しようとしていないか?
今一度真剣に考えてみよう。
【読書メモ】脳が冴える15の習慣—記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
【読書メモ】脳が冴える15の習慣—記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
日本放送出版協会 (2006-11)
ISBN:9784140882023
【総評】
本書を一言で表すと、「脳のスペックを最大限活用するためのアイデア集」
科学的に裏打ちされた納得の理論で脳の使い方を学ぶことができた。
すぐに実践したいと思える内容が多数あり、読んでいて楽しめる良書である。
頭の回転数を上げるにはどうすればよいのか?
その答えとして本書では、制限時間の重要性を説いている。
脳の基本回転数を上げるには、時間の制約が必要です。
距離と時間から速さを算出する式がありますが、それにたとえて言えば、距離は仕事の量や問題の量です。
何時までにこれだけの仕事をしなければならない、何個の問題を解かなければならないという状況が与えられていないと、速さである脳の基本回転数は上がりません。
これを逆に考えてはダメです。
一定の基本回転数が先にあり、時間をかければそれだけの距離が出せる(多くの仕事ができる)わけではないということです。
つまり、頭の回転を速くしたければ厳しい制限時間を設定せよとのこと。
夏休み最終日に尋常ではないスピードで宿題を終わらせる時のあの感覚。
確かに短い制限時間で追い込みをかけたときの集中力と思考の速さは平常時とは異なるものがある。
この短い時間制限時間で頭の回転数を最大限高めるという考え方は赤羽雄二氏が提唱する「ゼロ秒思考」を思い起こさせる。
脳の力を鍛えるには、最大限回転数を上げた状態とリラックス状態を交互に繰り返すのがよいとのこと。
同じ一生懸命に仕事をするのでも、「試験を受けている状態を一日に何回つくるか」という方向に考えを切り替えていかないと、いつまでも脳を上手く使えるようにはならないと思います。
これには経験上強く同意できる。
ゼロ秒思考やひとりブレスト、戦略立案などの脳に負荷をかける行為と、瞑想やパワーナップなど脳を脱力させる行為とをインターバルで繰り返しているときの「脳が覚醒している感覚」を思い出す。
そして、時間制限は頭の回転を速める以外の効果も期待できるとの。
24時間あると言われたら何から始めていいのか分からなくなってしまう仕事でも、本当に90分しかなかったら、「最低限、これとこれはやらなければいけない」「こちらよりこちらの仕事の方が重要度が高い」ということを強制的に判断するはずです。
そして、必要十分な仕事というのは、そういう厳しい時間の制約の中で組み立てたものである場合が多いと思います。
過度に時間があると本筋から外れたところに時間を費やしてしまうことがあるが、厳しい時間制限を設けることで本筋に集中する。
その他にも行動予定を立てることも脳の力を最大限発揮させるために有効であるとのこと。
その日にやるべきことを当日の朝か前日の夜に書いて並べてみる。
書かなくても分かると思われるかも知れませんが、耆いてみると、行動を意識して行う力が強まり、何となく行動して失敗したり、忘れ物をしたりすることが少なくなります。
そのときに「ここまでは何時までに終わらせる」という時間的要素も書き加えておくと、もっといいでしょう。
行動予定表が、時間の制約を意識させるきっかけにもなってきます。
その予定通りに実行できたかをチェックする習慣を持つとさらにいいです。
予定通りに実行できたときには、満足感が発生し、それが意欲の向上につながります。
予定通りにいかなかったときには、その理由を簡単に分析してみましょう。
普段の生活を見直す
著者は脳の力を発揮させるためには日常生活が大切であると言う。
思考が混乱しているときには、生活のリズムも崩れている場合が多いので、それを整え直すことも大切です。
時間の制約を意識して仕事をし、夜は睡眠中の整理力に期待して早く寝る。
それで朝一定の時間に起きるリズムが整えられてくると、脳がより冴えた状態になっていきます。
まずは脳に本来の力を取り戻させることが重要です。
忙しいときほど、ベーシックな習慣を大切にするようにして下さい。
生活習慣の大切さに関して異論はない。
特に睡眠は大切であろう。本書では睡眠導入に関しての記述もある。
布団に入ったら、足の指から順に、足→腰→背中→手の指→腕→肩→首と意識して力を抜いていきましょう。
特に毎日プレッシャーの中で仕事をしている人は、寝ようとしているときでも体に力が入っているので、この習慣が有効だと考えられます。
これは、ヨガの手法に似ている。
筋肉の弛緩により先に身体をリラックスさせ、それに合わせて脳がリラックス状態に入るということであろうか?
行動の組み立て
行動の組み立てを行う時には前頭葉を使うのだが、現代の社会では前頭葉を使う機会が減ってきているという。
行動の組み立てはITの側で用意してくれ、操作している人間は、細切れの選択・判断だけしていればいい。
生活の中に、そういう場面がどんどん増えていると思います。
カーナビも、文字通り行動を誘導してくれる道具です。
道順を組み立てるというのも、前頭葉を使う選択・判断・系列化ですが、その仕事をカーナビが代行してくれる。
現代には、そういう「ナビゲーション社会」とでも呼ぶべき一面があると思います。
そうして、下手をすると一日中、大きなことから小さなことまで、自分の脳を使って行動を組み立てた場面がどこにもなかったということもあり得てしまうのです。
一理ある。
仕事の現場においては前頭葉を酷使している人とまったく使っていない人の両極化しているようにも感じる。
本書では組み立ての方法論についても言及している。
複雑な組み立てが要求される仕事が発生したときにも、書くことから始めるといいでしょう。
まずは問題解決のゴールを設定し、そこに至るまでのプロセスを大筋で考えてみる。
それを書きながら考えると、主要な手順やその前後に発生してくる作業、選択・判断の場面などが見えやすくなります。
時には、問題解決のゴール自体を修正した方がいい場合もあるかも知れません。
それを臨機応変に考え、手順を並べ替え、より的確な問題解決の手段を組み立てる力が、いわば前頭葉のテクニックです。
必要な要素を書いたり消したりしながら組み立てを考えたら、フローチャート式にまとめるといいでしょう。
一目で分かるように清書すると、そこでまた思考が整理されます。
やはり一度書き出すことは大事である。
さらに規模が大きく複雑に感じる仕事に対しての思考の整理に関しては思考をファイル化することを推奨している。
大きな仕事を任されたときには、思考を整理するということがどうしても必要です。
人間の脳には限界があるので、100個の問題を覚えていろと言われても、とても覚えていられません。
100個の問題を、たとえば五種類の問題に分類して、A、B、C、D、Eの案件があるという風に整理するから、大ざっぱに覚えていられる。
さらにそのAの問題にはa、b、c、d、eという問題があるという風に整理するから、後でAの案件の中にあるaの問題には、a1、a2、a3、a4の要素が含まれているという風に、100個の問題全部を思い出せるわけです。
これを思考の「ファイル化」と呼びます。
これは、クラスタリングやロジックツリーに通ずるものがある。
もしくはマインドマップやアウトライン思考といった見方もできる。
このように既知に関連付けて理解するのは、シナプス形成を行う上で有利なのである。
神経細胞に関連することとして、ネットワーク構築のためのアイデアも紹介されている。
何か新しいことをしようとしているとき、脳の中では、神経細胞がニューロンと呼ばれる手を延ばして、他の神経細胞とネットワークを構築しようとしています。
この新しい連絡をつくるというのは、脳にとってなかなか大変なことですが、その活動が自分にとって良い結果をもたらした、またはもたらしそうだということが分かると、ネットワークが構築されやすくなります。
その良い結果というのは、仕事で成功したり、お金が儲かったりということでももちろんいいですが、誰かが自分の話に興味を持ってくれている、喜んでくれていると感じられるだけでも十分です。
つまりは脳が悦に入る状態になっていないと、新しいネットワーク構築は難しいということだ。
ここでのポイントは自分が「良い結果」と感じることができればよいということだろう。そう感じられる仕組みさえ先に用意しておけばよいわけだ。
記憶力を鍛える
マジック7
七つ以上の要素を同時には処理できない人間の脳には「マジック7」と呼ばれる性質があり、同時に脳の中で保持したり、系列化したりできる要素は、多い人で7つ、少ない人で3つの5±2が標準的と言われています。
それ以上の要素を一度に頭に入れようとすると、どうしても忘れてしまう。
それを補うには、情報を書いて目に見える状態にしておくか、どこかでまとめをすることが不可欠です。
マジック7は他人に情報を伝えるときにも意識しておく必要がある。
また情報を記憶するのは後にアウトプットするためである。そこを意識してインプットすることで後々に使用できる記憶を残すことができるそう。
情報を意識的に脳に入れるためには、基本的に、その情報を出力する、いつか人に伝えるという前提が必要です。
その理由は、こう考えてみると分かりやすいでしょう。
たとえば、街を歩いているとき、ただ何となく歩いていて、後で、「途中に何がありました?」と聞かれても、思い出せる情報はごく限られているはずです。
しかし、先に、「途中に何があったか後で教えて下さい」と言われていれば、めぼしい情報を意識して脳に入力しようとするでしょう。
そうすると、後でたくさんの情報を思い出すことができるし、その記憶は時間が経っても消えにくくなります。
使える記憶を増やすためには、そういう指示をされていなくても、いつか出力することを前提として、意識的に情報を取ろうとしていることが大切なのです。
これは本を読むときに何を得ようと意識して読むのと、そうでないのとでは記憶される内容が異なることと同じである。
アウトプットを意識しながらインプットするということは習慣にしたいものだ。
【読書メモ】自らをマネジメントする ドラッカー流 「フィードバック」手帳
【読書メモ】自らをマネジメントする ドラッカー流 「フィードバック」手帳
井坂康志 かんき出版 (2016-05-08) ISBN:9784761271695
【総評】
フィードバックの効能と手帳(ノート)を使ったフィードバックのノウハウの紹介といった内容。
ドラッカーがフィードバックを重要視していた事は紛れもない事実だが、本書のノウハウが「ドラッカー流」かと言われると疑問が残る。
個人的にはフィードバックやレビューというものは長年続けていく中でカイゼンを加えながら自分の型を作り上げるものだと考えているのだが、今現在フィードバックを行っていない方や、フィードバックと言われても何をすればいいのかわからないといった方にとっては本書が良い入口になると思う。
自分自身をマネジメントする
マネジメントは、ビジネスだけでなく、あなたの人生にとっても役立つ。
以上のように述べられているように、本書ではビジネスというよりはプライベートも含めた人生全般において自分自身をマネジメントしていくことを目的としている。
では、自分自身をマネジメントするとはどういうことなのか?
自分自身をマネジメントする仕組みこそが「フィードバック」です。言い換えれば、「言葉」を「行動」へと変換し、さらには、自分の意図した「成長」へと導く「もう一つの脳」なのです。
本書ではこのように述べられている。
私の解釈としては、フィードバックは日々の実績(活動記録)を言葉に置き換え脳の外(紙面)にアウトプットし、それを俯瞰で観察し、今後の望ましい未来のためのアクション(タスク)に変換し、実行する。そしてその実績を再度言葉に置き換え検証する。というサイクルを繰り返す仕組みなのだと考えている。
フィードバックのプロセス
ドラッカーは人の強みの活用を強く唱えていた。 そして、その強みを発見するためにフィードバックを行っていたという。 本書におけるフィードバックの具体的な手法としては以下の通りである。
①今の「自分との対話」をする。
②それをふまえて「目標設定」をする。
③それをもとに「行動」する。
④そのうえで「目標と成果の照合」をする。
これをひたすら繰り返す。
これにより自分の「強み」を見極め、その「強み」をもとに自分を築き上げていく。
このうち①②④を一冊の手帳(ノート)を使って管理していくのである。
「フィードバック」の仕組みがくるくると回りだすと、まるで呼吸をするかのように、ほぼ無意識のうちに優れた仕組みを利用できます。
しかも、「フィードバック」の効果をある程度実感できるようになると、「フィードバック」をすること自体が心地よくなってきます。
何かのためにがんばるのではなく、「フィードバック」をすることが心に安らぎをもたらすのです。
この一節に関しては大いに共感できる。
脳内のデトックス効果といった感じであり、毎日風呂に入ってリラックスするのとも似たような感覚である。
心の安らぎという点に関しては書き出すという行為の影響が強いのであろう。
思考を書き出すことの効能
いらいらしたり、不安になったりしているときのことを思い起こしてください。
意味もなく、焦っているはずです。
無意識下で感情が暴れている状態ともいえます。
こうした状態では思考が浅くなり、優先順位を的確に判断できません。
そんなときにこそ、「書き出す」ようにすべきです。
書くことは、無意識の自分との対話だからです。
禅の師や合気道の先生などは、呼吸法の達人でもあります。
ていねいな深呼吸が心身をすっきりさせるように、書き出すことで頭を整理し、心を安定させるのです。
この手帳を日頃から肌身離さず持ち歩くことは、意識の安全地帯、いわば心の非武装中立地帯が、常に手のひらにあることになります。
思考を書き出すということの効能に関しては様々なところで言われているが、睡眠前にその日の思考を紙面に吐き出すという意味では毎晩のフィードバックとの相性の良さを感じる。
強みの見極め
大切なのは、「強み」というものは、ぼんやりとした抽象的なものではないということ。
「成果」という具体的なもののなかに、その姿を現すものなのです。
「強み」は、成果を通してその姿を現す。
だからこそ、目標設定を行い、その目標と成果の照合を何度も繰り返していくことが「強み」の見極めになるのです。
「強み」を活かせとは世間でもよく言われる事であるが、その強みの見極めについて言及したものは意外に少なかったように思う。
フィードバック手帳では、過去の成果から「強み」を見極める具体的な手法が示されていたのが良い。
「強みでないもの」を切り捨てる
「強みでないもの」の廃棄見極めの結果、自分の「強みでないもの」とわかったものを廃棄する。
これにより無駄な時間やストレスの要因を取り除き、「強み」にフォーカスできるようにする。
「強みでないもの」を見極めて切り捨てることは「強み」を見つけること同じくらい大事だと考える。
「強みでないもの」で圧迫された状態では新しく「強み」がはいる余地もない。
それゆえにまずは「強みでないもの」の廃棄に努めるべきと思う。
本書においてもドラッカーのエピソードとして以下のような記述がある。
ドラッカーは、コンサルティング先の社長にしばしば、こう質問しています。
「最近、何かやめたことはありますか」
ドラッカーらしい質問です。
人は、何かをはじめることばかりに意識を取られてしまい、何かをやめることはなかなか意識できないものです。
時間は有限です。
何かをはじめるには、何かをやめなければなりません。
まさにその通りだと思う。
また向上心の強い人ほど「何かを始める」ことと「何かをやめる」ことのバランスが崩れてしまうことが多いように感じる。
意識して「やめる」習慣をもつとよいであろう。
切り捨てるものの基準としては本書では以下のように述べられていた。
成果が挙がらないもの、心理的抵抗感のあるものを、遠慮なく廃棄してください。
いまゼロからはじめるかと自らに問うたとき、その答えが「NO」であれば廃棄の対象とする。
一年間やってみて成果が挙がらなかったことはあきらめてください。そして二度と試さないでください。
過去の惰性で続けていることはないであろうか?
今やっていることは、ゼロからでもまたはじめられる気持ちは持っているか?
よく自身に問うてみる必要があると感じた。
自分をどう使うか?
「自分を使って、どのような成果を挙げるべきか」を考え抜くことです。
「自分がどんな成果を挙げたいのか」と考えると、必ず間違えます。
というよりも、答えが出なくなり、やがて袋小路に迷い込みます。
あくまでも、「自分という素材」を世のためにどう役立てられるかが肝心なのです。
経験を重ねるほどに、このことの意味がよくわかってくるはずです。
この一文にはドキッとした。
組織でのマネジメントにおいては、部下の強みを最大限使って成果を上げることに注力していたと思うが、自分自身に関しては「どんな成果を挙げたいか」に意識が向いてしまっていた。
このことに関しては時間をとってゆっくり考えた方が良さそうだ。
5つの思考プロセスを意識することで思考の瞬発力を鍛える
5つの思考プロセスを意識することで思考の瞬発力を鍛える
話していて「頭が良い」「頭の回転が速い」と感じさせる人はそうでない人と比べ何が違うのだろうか?
その違いは思考の瞬発力なのだと思う。 思考の瞬発力が高い状態とは思考プロセスの速さと深さを兼ね備えている状態である。
では、その思考プロセスにはどのような段階があるのか?
インプットからアウトプットまでを5つのプロセスに分解して考えてみる。
1.情報を受け取る
人から話を聞く、文書を読むなど外部からの情報(刺激)が聴覚、視覚等を通して脳に伝わる。 この段階において注意すべきは情報を受け取る無意識のフィルターである。 人は普段の生活の中でも膨大な量の情報に曝されており、その中から無意識下で情報を選別しながらほんの一部を受け取っている。 自分はどのような情報を受信する必要があるのか、そのことを事前に考えることで無意識のフィルターが意識に通す情報が変わってくる。
2.意味を理解する
受け取った情報の意味を理解するプロセスにおいて大事なことは、客観的であることである。 受け取った情報に対するアクションなどの主観的な部分は後のプロセスで行うので、この段階では事実を明らかにすることに集中する。 具体的な注意点としては、 まずは聴くことに全神経を集中する。 相手のボディランゲージ等も観察し、全身を使って聴く。 そして、早合点をせず、最後まで聴く。 また、より客観的であるために、立ち位置を変えてみる。相手からの景色や上空からの景色をイメージする。 以上のことを意識しながら慎重に情報を理解する。ここで事実の理解を間違えるとこの後のプロセスにおいて的外れなオプションを出すことになる。
3.オプションを出す
情報の意味を正しく理解したら、その情報に対するアクションの選択肢(オプション)を出していく。このプロセスのスピードが思考の瞬発力の有無により大きく左右される。 オプション出しは質より量を重視する。 その理由は全てのオプションの質が高くなかったとしても量を出すことで選択の幅が拡がり最終的なアウトプットの質は高くなるからである。 故にこのプロセスにおいては内容の善し悪しを評価しない。 思いついたオプションの善し悪しを気にし出すとスピードが激減するので、ひとりブレストのつもりで、とにかく素早く出し切る。 一息で出し切るつもりで頭の回転数を最大までもっていく。
4.オプションから選択する
一通りのオプションが出たら、その中から最良と思われるものを選択する。 この時のポイントはゴールから逆算することである。 望ましい結果と現状を繋ぐ可能性の最も高いオプションを選択する。この際に望ましい結果と現状の間のルートで見えていない部分や懸念となる障害があれば、その点についての確認をとる。
5.アウトプットする
最良と思われるオプションが見つかったら、いよいよアウトプットである。 このプロセスの目的はアクションに繋げることである。 選んだオプションの結果、誰がいつまでに何をするのかを明確にする。 また、必要に応じてその理由を補足する。
私は以上の5つの思考プロセスをショートカットせず、高速に行う訓練を積むことで思考の瞬発力は鍛えられると考える。
自分の人生をマネジメントするためのフィードバックの技術
自分の人生をマネジメントするためのフィードバックの技術
なぜフィードバックを行うのか?
フィードバックを行うのは目的を達成するためだ。
いくら明確な目的があっても、それが遠くにある場合には目標というマイルストーンを置きながら軌道修正しながら目的地への道程を着実に進んでいく必要がある。
フィードバックを行うのは期待していた結果と現実とのズレを認識し、さらに次の目標地点を調整するためである。
すなわちフィードバックとは人生の目的地への進路を見失わないための羅針盤なのである。
1日の振り返りを行う時には上手くいかなかった事に対してもしっかりと向き合う。
たとえ1日が上手くいかなかったとしても、フィードバックを行うことで1日をそこで締め、翌日にネガティブな感情を持ち越さないようにすることでモチベーションを維持していく。
過去を悔やんだり、望まぬ結果を無視したりしていたのでは前に進めない。
本質的には失敗というものは存在しない。ただフィードバックがあるだけだ。
フィードバックを通じて今後の行動をどう修正していくのかという事に時間を使う。
フィードバックによる強みの発見
フィードバックを繰り返していく中で自身の強みを発見し、その強みを目的達成のための手段とし次の目標を日々調整していく。 このように自身の強みを発揮できる方向を意識しながら進んでいくことで抜きん出た成長が期待できる。
では、具体的に何をすれば良いのか?
自己評価とフィードバックをもとに、パフォーマンス向上の計画を立てる。
強み発見のためのフィードバックでは記録を振り返りながら、何が上手くできたのか?なぜ上手くできたのか?を自問自答する。
自分が上手くできることの傾向を理解することで強みを見つけることができる。
強みと思われるものが見つかったら、今後の行動に活かせるように将来の計画に組み込んでいく。
チャンクコントロール
目的がなければ目標は存在し得ない。
目的だけでは、今必要な行動が見えてこない。
目的と目標、行動が相互関係を保ちながら存在する必要がある。
人生の目的からチャンクダウンして、年間目標→月間目標→週間目標→1日のタスクまで落とし込む。
行動計画の作成(チャンクダウン)
毎日寝る前に明日の行動計画を立てる。
1日の行動計画は週間目標をチャンクダウンして、具体的かつゴールが明確なアクションとして書き出す。
俯瞰で見たときに特に重要な目標をしっかり前に進めるために、1日に4つの「絶対にやること」を設定する。
行動計画は誰が読んでも理解できるレベルまで具体的に書く。
行動
4つの「絶対にやること」を最優先に今日の行動計画を実行する。
デイリーレビュー
1日の行動を振り返りながら、内省を行う。 自身との対話の中で、今後アクションを起こした方が良いと思われることや、排除すべき習慣を見極める。
新しい行動を追加するときには今日行っていた行動の中から同じ量だけ削減する必要がある。
注意すべきは新しい行動を追加するのと同じ量だけ、今日の行動の中から同じ量を削減しなければならないということだ。理由は時間は有限だからだ。
慣れないうちはここに躓きやすい。 モチベーションが高く、やるべきことがどんどん増えていくが行動が追いつかず未達成が続き、モチベーションが落ち込んでいき、フィードバック自体ををやめてしまうといった感じだ。
よって本来最初にすべきは引き算である。 今日の行動の中から明日は排除すべきものを見極める。 そこで空いたスペースに新しい習慣を入れる。
目標の再設定(チャンクアップ)
繰り返しフィードバックを行っていく中で、自分の上手くできることと、なかなか実行に移せないものの傾向が見えてくるはずだ。 過去に実行に移せなかったものは将来的にも実行に移せないと思った方がよい。 それよりも上手くできることにフォーカスし、その強みを最大限活かせる方向に目標を再設定していく。 目標の再設定では、人生の目的との整合性をしっかり考える。
目的への道のりは必ずしも1つではない。目標の再設定により、経路の最適化をはかる。
継続は力なり
人生をマネジメントするための絶大な力をもつフィードバックだが、その真価を得るには毎日の継続が不可欠である。 日々の繰り返しの中でフィードバックの形式は自分なりのやり方に変形していくであろう。 それでよい。 それもまた一つのフィードバックである。 但し、記録媒体に関しては可能な限り一つのものを使い続ける方がよい。 フィードバックは過去の積み重ねが力となる。 であるならば過去の記録は一元管理した方が効果的というわけだ。
あらゆる事に3つのバックアップ・プランを用意しておく。
あらゆる事に3つのバックアップ・プランを用意しておく。
イレギュラーに即時対応するために、あらゆる事に対して事前にバックアップ・プランを用意しておくとよい。
なぜ3つなのか?
オプション(選択肢)に幅をもたせるにはオプションの数は1つや2つでは心許ない。 かといって数が多過ぎると、「あらゆる事」にオプションを考える事自体が負担になってしまう。 オプションがスラスラ出てくる時には4つ、5つでも構わないが、オプション出しに時間をかけ過ぎないよう気をつける。
オプションはどの程度の粒度で考えるか?
バックアップ・プランはあくまでひとつの指針なので、メイン・プランほど詳細に描く必要はない。
むしろ、詳細に描いてしまうとバックアップ・プランに移行したときの柔軟性が低下するのでその点にも注意したい。 イメージとしては、バックアップ・プランはメイン・プランにエラーが生じたときに取りあえず向かうざっくりとした方向である。 その方向に向かって走りながらその時の状況を考慮して経路を微調整していく。 メイン・プランにエラーが生じたときに立ち往生しないことが大切なのである。
バックアップ・プランは常時書き換え可能
メイン・プランの流れに沿って進んでいる間はいつでもバックアップ・プランの書き換えが可能である。 バックアップ・プランは3つ存在しているので、1つのバックアップ・プランを書き換えている最中にトラブルが発生してメイン・プランからバックアップ・プランに移行しなければならなくなった場合などは他の2つのアクティブなバックアップ・プランのどちらかを採用すれば良い。 このような状況も想定し、バックアップ・プランの書き換えは1つずつ行う。
どのようなことに対してバックアップ・プランを用意するのか?
何かを計画、選択するときには基本的にバックアップ・プランを考える。 企画や個人的な提案、デートの計画、休日の過ごし方など、ビジネスとプライベートとを区別せずにバックアップ・プランを作ることで考える能力が高まる。
ビジネスでもデートでも突発のアクシデントに対してスマートにプランの切り替えを行うと相手に好印象を与えられる。
実際に数をこなしていくと当然実施されなかったバックアップ・プランも多数出てくるが、その実例とそれを考えるに至った思考経路が記憶の倉庫にアーカイブされていくので、とっさの時に代替え案を出すスピードが目に見えて上昇する。
バックアップ・プランを習慣化すると頭が良くなる
ここでいう「頭が良い」とは知識の量のではなく、考える力の事である。 バックアップ・プランを繰り返し作ることで、以下のような考える力を高めるトレーニングになる。
全体を俯瞰する力
現在地と目的地を繋ぐ力
複眼的な思考の力
先を読む力
ところで、身近なものでこれらの能力を備えているものがある。 カーナビである。
カーナビはインストールされた地図(全体俯瞰)を使い現在地と目的地を繋ぐルートを検索する。有料道路やフェリー使用の有無、最短ルートなどの条件を複眼的に示し、経路上の事故、渋滞に応じて(先を読む)別のルート(バックアップ・プラン)に切り替える。
時には地図を持たない行き当たりばったりの旅も楽しいかもしれないが、その場合は望む目的地に辿り着けないリスクも受け入れなければならない。
人生という旅には時間の制限がある。 旅の途中で立ち往生しないためにも常にバックアップ・プランを用意しアクシデントに対してスマートに対処していきたい。 また、バックアップ・プランがあるからこそ心に余裕をもっての寄り道や大胆な経路変更もできるのだと信じている。
まずは身近なことから始めてみよう。