【読書メモ】ユダヤ人大富豪の教え
主人公(著者)が、「3日以内に1000人分の署名をもらう」「電球を1000個売る」など、数々の課題を乗り越えながら、お金持ちになるための心構えや手法を学んでいく。
困難にぶつかったときに創造的なアイデアを出せるかどうか、自分らしい人生を生きることに集中して、お金のことや成功することを忘れられるかどうか、自由人と不自由人で異なる人生のルールを受け止められるかどうか…。
含蓄に富んだ言葉は枚挙にいとまがない。
メンターとなる老人との「対話形式」を採用することで、あたかも自分が大富豪の教えを受けているかのような感覚になるのも、本書の大きな魅力である。
思考の力を使い、望む未来を引き寄せる
物語の中で主人公のメンターとなる老人ゲラー氏は思考の力について何度も言及している。
多くの人の最大の問題は、理想の状態をイメージしないことなんだ。
君がやらなければならない最初のことは、自分の望む人生をイメージすることだ。
望む人生をイメージする。
望む人生について日々本気で考えている人はどれだけいるのであろう?
「自分の望む人生なんてわかっている」と思っている人も多いと思うが、本当に鮮明にイメージできているのだろうか?
なんとなく、「愛する人がいてお金も時間もあって…」程度にしかイメージできていない人がほとんどなのではないか?
鮮明なイメージとは五感全てを使って描くものである。
理想の人生ではどのような景色を見ている?
どのような声を聴いている?
空気は澄んでいる?
気候は暖かい?
そこで食べる食べ物の味は?
ゲラー氏はそれらを全て本当に体験したかのごとくイメージせよと教えているのだろう。
自分の話す言葉に注意しなさい。
ふだん君が話していることは、君の未来をつくる。
君が人の悪口、否定的なこと、ゴシップ話をすれば、君の将来はそういったネガティブなもので満たされる。
君が、希望、ビジョン、豊かさの話をすれば、君の人生は喜びと豊かさに満たされることになるだろう。
この言葉に関しては、今までの人生で出会ってきた人のことを思い出せば、その差は歴然であろう。
ネガティブな環境にあるからネガティブな発言をするのか?
ネガティブな発言をするからネガティブな環境になるのか?
ともかく、「自分が何を感じているか、考えているのか」に意識を集中させなさい。
そして、自分が何をやるのが好きなのかを探しなさい。
やりたいことが見つからないという病の原因は社会的に瞬間の感情にフォーカスする機会が減っていることにあるのかもしれない。
現代は全てにおいてスピードが速い。
その上、自動化が進んでいる。
自分が何を感じているのかを意識的に見つめなければ、それを感じる間もなく通り過ぎていってしまうのだろう。
日常的に考えていることが人生をつくる。
金持ちは日常的に豊かさ、新しいチャンス、楽しいイベントのことを考える。
お金に縁のない人は、月末の支払い、イヤな上司、リストラ話など貧困につながるようなことばかりを考えている。
どこに、ふだんの意識を集中させるかで、君の将来が決まるといえるだろう。
この言葉に対しては、「金持ちだからお金の心配をしなくて済むんだよ」という意見も当然あると思うし、それはそれで一理あると思う。
貧困につながるようなことは考えず、豊かなことばかり考えているが経済的にはさほど裕福でもない人もいるであろう。
それでも自分としては同じ経済状況なのであれば、心配事ばかり考えている人生よりワクワクすることばかり考えている人生を選びたい。
自分の望む現実に意識をフォーカスすることだ。
人生でいいことが起こると思っている人間には、いいことが続けて起こるものだよ。
自分の思考が何にフォーカスしているのか、常に意識しなさい。
望む未来が十分にイメージできたら、そこから強くフォーカスすることが大事である。
虫眼鏡で太陽光を集めて火をつける感覚だ。
鮮明な全体イメージを凝集し、今という一点に集中するのだ。
望む未来にフォーカスしたら、行動を起こす。
目標は、この注文のようなものだ。
何が欲しいか言ってあげないと、ウエートレスの人も困ってしまう。
はっきりと何が欲しいかを言ってあげなければいけない。
どういう仕事がいいのか、どんな人生
が欲しいのか、一つひとつはっきりさせていけばいい。
そのオーダーを伝えると、ウエートレスの人が、その人生の値段を言ってくる。
宇宙レストランの値段はお金ではなく、行動で支払うことになっている。
欲しいもののための、行動リストを書いて、そのとおりに行動する。
そうすると、注文どおりの人生がやってくるというわけだ。
シンプルだろう。
ここで、行動リストをつくってもなかなかその通りに行動できないというときには、その前段階であるイメージやフォーカスが不十分な可能性がある。
本心では「正直そんな値段(行動)を払ってまで手に入れたい未来ではないかな」と思っている可能性もあるので、「ほんとのほんとに何よりも望む未来なのか?」と自問してみよう。
豊かな者のお金の使い方
ゲラー氏はお金の使い方にも哲学をもっている。
豊かな者は他者を幸せにするためにお金を使いたがり、貧しい者は自分のためにお金を使いたがるとのこと。
貧乏人の口癖は、「ふだん頑張っているご褒美に買っちゃおう!!」
一方、金持ちの口癖は、「いまの私には必要ないな。またにしておこう」
これは耳が痛い。
自分は完全に前者だ。
対策をご教授願おう。
欲しいものが出てきたら、一週間待ちなさい。
それでも欲しいものは、もう一週間待ちなさい。
それでも欲しければ、そこで買ったらいい。
この少しの時間を待つクセがあれば、余分なものを買う確率がぐんと減る。
二週間か…自分にとってはなかなか長い時間に感じる。
それでも、その二週間で気持ちにどのような変化が起きるのかは試してみたいとも思う。
やってみよう。
ビジネスを始める
「スタートはできるだけ小さくすることだ。
勤めている会社をすぐ辞めてしまったり、いきなり大きなお店を始めたり、リスクを犯さないほうがいい。
小さくスタートしていれば、失敗しても損失は多くない。
また、準備をしてやり直すことができる。
また、うまくいきだしたからといって、急に拡大しないことだ。急拡大すると、大きなひずみができる」
自分で事業を始めるほとんど全ての人は、高い志や野望をもっている。
そして、失敗のことより成功のことを考えている。
ゲラー氏は大きなリスクは極力避けるよう諭している。
これはどのような成功者であっても数多の失敗を経験することをゲラー氏自身が熟知しているためであろう。
失敗すること前提で考え、いかに早く立ち直るかというところに主眼を置いており、致命傷などもってのほかというわけだ。
成功したければ、いい加減な準備では不可能だ。
最後のつめのほんの数パーセントが普通と大成功の差を生むのだから。
失敗前提だからといって、なんとなくで始めていいものでもないことを諭している。
もちろん成功するための準備なのではあるが、失敗したときに得るものの違いもあるのであろう。
仲間はどうする?
事業を始める時、ひとりで全てをやるには限界がある。そうなると仲間が必要になる。
あまり、最初は有名な人は雇わないほうがいい。
というのも君みたいな若者にはかまってくれないだろうから。
それよりも、君と一緒にゲリラ戦を戦ってくれる、若くてできる奴を雇いなさい。
「ゲリラ戦を戦ってくれる、若くてできる奴」というのは心底頷ける。
新規立ち上げの事業などはほぼ全てがゲリラ戦といってよい。
大企業の管理職の仕事とはまったく異なる。
まず体力がいる。
新たに学ぶべきことも山ほどある。
会社がその労力に見合った待遇を与えられるかも定かではない。
ただただ未来を信じてもらうしかない。
そんな仲間を見つけられるかどうかも一つの分かれ目であろう。