【読書メモ】部下を育てて自分も育つ 5つのマネジメント・プロセス
部下を育てて自分も育つ 5つのマネジメント・プロセス
二宮靖志
日経BPコンサルティング (2012-03-22)
ISBN:9784864430012[
組織活力向上のためには人の成長への投資が欠かせない。
人の成長促進のためには自身よく考え、部下にもよく考えさせることだ大切だ。
そのためマネジャーにはファシリテーターとしてのスキルも求められる。
また、マネジャーは常に自身のアンテナの感度を高めておくことも求められる。
そのためには現場を歩く感覚を持ち続けるとよい。
現場を歩き、よく観察し、社内外の変化やニーズに誰よりも敏感であるよう心掛ける。
現場最前線の経営者として利益に対しての意識を強く持つ。
「チーム全体で売上をどこまで伸ばし、利益をどのくらい確保するか」
「どの顧客に重点を当ててメンバーの活動を集中させるのか」
「どのような商品を開発し、どのようなサービスを充実させるのか」
これらの目標を定め、自身も前線に身を置きながら一緒に取り組む。
OJTは成長の機会であり、3年後に仕事を通じてどのように成長していることを期待するかというビジョンをもって行う。
本人への期待はアサインをもって表明する。
アサインの際にはマネジャーが部下のどのような強みに着目し、今後どのような成長を遂げてほしいと感じているかをしっかり伝えることを避けてはならない。
変革を生み出すために現状より一段上の目標を設定する。
チームの現状と理想から 経営計画の逆読みをし、チームとしての目標を定める。
経営計画の自問自答を繰り返し、経営トップの思考プロセスを辿ることで、目標の核心を得る。
初めから安易な定量目標を立てるのではなく、組織の定性目標を定めた後に期間毎の定量目標へとチャンクダウンする。
チームの目標はメンバー間で共有する。このとき、チームの目標を腹に落とすためにはチームメンバー各々が自分の頭で、その目標ができるに至ったプロセスを考えることが必要である。
マネジメントを通して自身も成長していく。
自身に対しても常に成長課題を課すことで次のステージへの階段を登っていく。
人は現在の自身のレベルより一段上のレベルの環境に身を置き、そこでの試練の連続を乗り越える中で成長していく。
マネジャーは個々人のもつスキル、感性、ノウハウをよく理解し、アサインをもって成長のための環境を与えることが仕事である。
3.実行徹底のためのPDCAの仕組み
PDCAサイクルを回す上で大事なことは実行の徹底である。
特にCheck,Actionの徹底がなされていない組織が多い。
Check,Actionを徹底するためには以下の3点の必要性を認識する。
⑴時間の投入
Check,Actionを行うための時間枠を事前に設ける。
Check,Actionは片手間に行えるものではないので集中できるまとまった時間を用意しておく。
⑵定期レビュー
レビューは2週間、月次、四半期、年間とそれぞれのチャンクで行う。
⑶チーム討議
チームのメンバー全員で仕事の深まりを討議する場をつくる。
チーム討議はメンバー同士の多面的な意見の交換ができ、一人の意見から新たな気づきがもたらされたり、新しい発想を生むプロセスにもなり得る。
また、PDCAサイクルを回すという面においても現場を歩く感覚を忘れてはいけない。
マネジャーが現場前線で問題点の吸い上げを行い、改善のためのPlanを立てるのである。
チームで人を育てるということにおいて、マネジャーは人の成長に対しての並々ならぬ熱意と信念が要求される。
熱意と信念に関してはスキルではなく個人の資質であるので、この2つはマネジャーの素質という見方もできる。
成長促進のためには昇格も有効な手段である。
しかし、年功序列による昇格や無意味な階級の設置は組織の成長を妨げる要因にもなりかねない。業績見通しに基づいて人員枠を設け、適切な競争において昇格を行っていく。
成長のカンフル剤としては以下の3点が重要である。
⑴ほめる
日常のコミュニケーションの中でよくほめていくことが大切である。
⑵認める
本人の実績に対してのフィードバックも随時行っていく必要がある。
⑶報いる
報いる際に用いる方法としては賞与と昇格があるが、それぞれのもつメッセージは異なるので正しく使い分ける必要がある。
賞与は短期実績に対する報いであり、直近の実績を認めるというメッセージをもつ。
賞与を与える時には今回の賞与の根拠の説明と次期目標の設定に関して伝えることを忘れてはいけない。
昇格は長期実績に対する報いであり、3年間を振り返っての成長を鑑みて、次のステージへの階段を登らせるというメッセージをもつ。
昇格に関しても根拠のフィードバックと次の階級においての期待する目標をしっかりと伝えなければならない。